東京恋愛散歩

東京の街は恋と笑いにあふれてる

パールセンター商店街のパスタ

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「なんかさ、へへ。ちょっとうれしいなあ。」
「なに、そんなに食べたかったの、ここのパスタ。」
「いや、そうじゃなくてさ。付き合った頃だったら、連れてこれなかったなあって。いま、なんか彼女になってくれたんだなあって、ちょっと。」
「へんなのぉ。まあ、そうねえ、女子的にはちょっと抵抗あるかな。だってさ、難しいもん。こういうの上手に食べるの。」
「ほんと、そう。男子もさ。でもね、今はこうやって、美味しいなあと思うものを、一緒に来れて良かったなあって。」

ミート屋

八王子の都まんじゅう

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「ほう、珍しい物があるなあ」
思わず声を出してしまった。
「部長、知ってるんですか。」
「ああ、八王子の都まん、だろ。」
「いがいですねえ、甘いモノ食べるんですか。加藤君が、今日、八王子に行ってきたんで、買ってきてくれたんです。どうです、一つ。」

 営業帰りに八王子から持って帰ってきたものだから、冷たくなってしまっているが、一つ、もらうことにした。

 もう三十年も前になる。当時の彼女が八王子で、よく八王子に通ったものだった。学生時代で金もなく、この都饅頭を二人で買って食べたもんだった。
 八王子の街も、すっかり変わり、彼女とどこで食事をしたのかとか、喫茶店に行ったのだか、うすぼんやりした思い出になっているのに、なぜか「八王子」というと、この都饅頭を思い出す。おかしなもんだ。

「部長、加藤君、最近、よくお土産買ってくるでしょ。なぜだか知ってます。ここだけの話ですけどね、彼、受付の子に気が合って、気を引こうとして、営業に出るたびになにか買ってきてるんですよ。でも、ほら、受付だけに買ってくるというわけにいかないいで・・・」
「なるほど、それで私たちがご相伴にあずかっているという訳だ。」
「立ち回り先で、どこのおやつが美味しくて若い子に人気だよって吹き込めば、それが食べられる訳だな。」
「部長、それいいです。今度、みんなでやってみますよ。」

 白餡があっさりした甘さで、冷めてはいるがホクホクしている。ブラックの熱いコーヒーにちょうどいい。

「しかし、あの受付の美人さんが、こんな饅頭くらいで加藤になびくかな。いろいろ都内の有名菓子店を紹介してやらないとな。さて、もう一個、もらうかな。」

つるや製菓

万世橋のお説教

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ここ、俺たちが子供の頃は、交通博物館だったよなあ。親に連れてきてもらったよ。
なに、どうしたんだよ。元気ないなあ。
また、振られたのかよ。
えっ、今回もまた告白する前に振られたって。
クリスマスのディズニー・シーは行ってくれたんだろう?
やられたなあ・・・・前も、同じようにやられなかったっけ、ほら、商社の女の子に。
あれは、ランドの方か 同じじゃないか。
しっかりしろよ。
おまえの出身、山形だろ、ほら、ふるさとの料理食べて、元気つけて
ええっ、おっさん二人じゃおしゃれすぎるって? うるさいなあ 全く。
そういうこと言ってるから、おまえは・・・

フクモリ マーチエキュート神田万世橋店

隅田川と屋形船

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「この間、告白されたんだって、聞いたわよ。」
「もうやだ、会社いられない。」
「けいこが辞めることないじゃん。」
「そうよ、セクハラよセクハラ。」
「私、なんで部の忘年会の屋形船の中で、大声で告白されなきゃいけないのよ、恥ずかしくて川に飛び込もうかと思ったわよ。」
「バカじゃないの、あいつさ、結構評判になってるわよ。でも、けいこのことじゃなくてあいつが馬鹿だって。」
「部長、結構、まじで怒ってたって。」
「課長が怒ってくれたから、助かったけど。私、泣きそうだった。」
「だから、あいつ、もてないんだって判らないのよね。」
「あ、けいこ、ほんとは課長のこと、大好きだしね。泣きながら、抱きついたりしたんじゃないの。」
「そうだったんだ~、じゃ、さ、お礼にお食事にご招待したいんでとか言ってみれば、ね、課長、独身に戻ったんでしょ、去年。」
「そうだよ、けいこ、ここは、これ利用してさ。」
「え、そう、そうかな。おかしくない、私がお礼に食事に招待なんて。」
「ないない、大丈夫だって、いいきっかけできたし、良かったねえ。」

カフェ・ムルソー
  浅草からほんの少し歩くだけで、眺めのよいカフェに着く。浅草寺の賑やかさの中を歩き疲れたら、ぼんやり隅田川を眺めながら、珈琲を飲もう。

表参道の熱い高校生

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「あのさあ、おれ、今日、授業中に考えてたんだけどさ 過去って確実に存在するけどさあ、未来はあるかどうかわかんないじゃん。ってことはさ、過去に戻ることは可能なんだよ。絶対、可能だわ。でもさ、未来は存在するかどうかわからないんだからさ、行けないってことよ。すごくね!過去のお前に会ってみたいよ。」

「小学生とかの私に高校生のあんたが会っても、おもしろくなくね? それより、このチョコラティ なんだっけ、バナナのまじおいしいよ。」

 男はいつも幼くて、女はいつも冷静だ。

東急プラザ表参道原宿


晴海ふ頭のヒーロー

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「ここって、戦隊モノの基地なんだよなあ。」
「せんたいもの?」
「ほら、なんとかレンジャーというのあるだろ。子供の頃、よく見た。」
「ああ、男の子が好きなやつね。」
「そう、東京に来てさ、銀座から都バス乗って、初めてここに来て、あ、ここ知ってるって。うれしくなっちゃって。」
「ふーん。そうなんだ。」
「やっぱ、子供っぽいかな。」
「ま、いつもそうだし、そういうとこ、嫌いじゃないから。それに、意外でおもしろいね。銀座から都バスで来れるところに、こんなのあるなんてね。」

オリンピックの選手村が建設されたり、数年もするとまたすっかり景色が変わっているかも。
有楽町、銀座から都バスで行けるのも意外。

www.kouwan.metro.tokyo.jp

上野のとんかつ

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「なんだい報告って」
「結婚することにした。」

「おお、良かったなあ。そりゃあ、良かった。苦節何年だっけ、やっとあの男がふっきれたか。」

「ねえ、寂しいとか思わないの。」

「なに言ってんだか、思わないよ。いい話じゃないか。ずっと心配していたんだしさ、いや、めでたい、めでたい。」
「ただ、一つ問題があってねえ。」
「なんだよ。お母さんのことか?元気なんだろ。そんなの何かあってから考えればいいじゃないか。彼氏は、長男なの?」
「次男」
「じゃあ、問題ないじゃないか。良かった良かった。」
「違うのよ、もっと大きな問題があるの。」
「もっと大きな問題?あ、元カレか、何年引きずってんだよ。」
「なに言ってんのよ。確かにないことないけど、さすがに違うわよ。」
「怒んなよ、なんだよ。」
「相手のことが、どうにも好きになれないのよ。ちょっと、そこ、笑うとこじゃないし。真剣に相談してんのに。」
「あのさあ、30も後半になるまで、独身で来てさ、いまさら、好きでもない男と結婚することないんじゃない。」
「それは、結婚したことのある人だから言えるのよ。私だって、一回くらい結婚したいわよ。でもさ、なんかダメなのよね・・・」
「なんだそりゃ。」
「いい人なんだし、条件もいいんだけどさ。あのさ。」
「なんだよ。」
「いや、あの、例えばさ、一緒いてさ、手とか触れるとぞわっていうか、なんかダメなのよ。それがどうも。」

「そりゃ重症だな。でもま、まあまあ好きなんだろ、だったら・・」
「好きだ好きだって結婚しても、あんたみたいになっちゃうのもいるでしょ。でもねえ、自分の中で、一回、結婚したっていう事実は必要なのよ。わかんでしょ。」
「なーに言ってんだか、びっくりして、味噌汁覚めちゃったよ。」
「もう、笑うの止めてよ。」

 

井泉本店