谷中の豆大福
「あ、ここ! 両津さんが豆大福買いに来たとこだ。」
「誰よ、両津さんって。また、元彼女の思い出~?いい加減に気を使ってよねえ」
「何言ってんだよ、両津勘吉だよ、こち亀の。うおーほんとにあるんだ。」
「なに感動してんのよ。でも、ほら、ここって豆大福で有名な店なんでしょ。買って行こうよ。」
「おうっ。花を見て腹がいっぱいになるかよ!」
「なに両さんになってんのよ。ばか。」
「梅を見ながら、大福と練り切り、いいわねえ。落ち着くわ。」
「だな~。これでお茶がペットボトルじゃなきゃなあ。」
「ほんと、それ。でもねえ、いいわねえ、古くからのお店で仲の良さそうな旦那さんと女将さん。うらやましいなあ。」
「あのミッキーは不思議だけどな。」
「一緒に暮らしても、あの女将さんみたいにニコニコしていられるかなあ。わたし。」
「ま、まかしとっけって。」
「あ、言ったわね。プロポーズと受け取らせていただいていいのかな。」
「なんか、大福食いながらで、変だけど。」
「口の周り、白いし・・・」
「なに、なんで泣いてるの。入試 就職 結婚 みんなギャンブルみたいなもんだろ!」
「だから、両さんはいいってば!」
※谷中岡埜栄泉